ポエムです

「立ち食い蕎麦でフルコースの満足」

…私の記憶
子供のころ、基本的にいつも、忙しくてあまり遊んだり、一緒に出掛けた記憶があまりない…
私のおやじ。
そんなおやじに連れられて出掛けたことがある
記憶といってもそれは断片的というか
ピンポイントの記憶の話
西武池袋線の
「所沢駅」のホーム内
立ち食い蕎麦のお店に連れられて入った

自分が何歳の時かも覚えていないけど
立ち食い蕎麦のカウンターには背が届かず
荷物置きか何かの一段下の棚で
そばを食べた記憶だけが
なぜか残っている

別におやじとの「特別な思い出」って話でもないし

その一杯の蕎麦の美味しさを覚えているって話でもない
ただ


始めて食べる立ち食い蕎麦で
その空間は子供用に優しくは出来てなくて
特別に配慮なんてしてくれやしない
その時のおやじがどんな感じだったかすら記憶にないけど

その狭くて食べにくい所で頂いた
蕎麦は
大人の世界を少し
覗けたような気がしたのかもしれないし

単純に冷え切った身体が温まった
心地よさが、そうさせたのかもしれないけど

その立ち食い蕎麦で
おやじと一緒に背伸びしながら
食べたあの瞬間を覚えてる。

鞆の浦で
「鞆SOBA専門店」をやりたいって気持ちがある
屋台の立ち食いスタイルにしようと決めている。
特別なサービスや奇抜なアイデアとかは
考えてない
私は兎に角ただ
「おいしく」「早く」
提供すること以外には
一切の興味を持たない店主になりたい

鞆の浦を探索に来た観光客や
近所のひとや
近郊の人が
鞆の浦って時間を楽しむ事を
なるべく削がないために
ただ早く無駄のない仕事をしたい


飲食店を経営していると
食について考えると同時に
飲食空間について考える
食べることの幸せをどうやって演出するか
店舗デザイン
装飾品、椅子、テーブル
お皿やカトラリー
BGM、スタッフサービスなどなど、、、


お客様が食を通じて滞在する
「時間」をいただき
「空間」を演出する
来店前のワクワクから
退店後の余韻まで、、、。

飲食店ってめちゃめちゃ難しくて面白い

ふと
ちょっとしたきっかけで
立ち食い蕎麦について考えてみた
あの
電車が来るまでの
5分もないような時間にむせながら食べる一杯
この瞬間を逃したら
夜まで何も食べられなかった胃袋を
温める一杯は
2時間かけていただく
フレンチのコース料理と比べて
どちらが幸せかなんて
野暮すぎて考えたくもない。

料理人として
美味しい料理を作りたい
感動を生みたいって思うから
鞆SOBAは
立ち食い蕎麦のスタイルがいいなって
今はそう思ってます